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さてどれくらい遊んだだろうか。
水溜りにいくらか流れ星を作ったところで、ひときわ大きな光が落ちてくる。
投げていた欠片をいくつも組み合わせたような流れ星。
それが水溜りの中央に、美しい銀色の弧を描いて落ちた。

カシャン!

甲高い音を立て、星が割れる。
青白い光が水溜りに移っていく。
いっぱいに鋭く光りながら、線香花火のように。
しゅわしゅわと水溜りに溶けていく。

そして不思議なことが起こる。
じわりじわりと水溜りをスクリーンに、様々な光景が映し出されたのだ。
徐々に輪郭が定まってきたそれらはあなたの見知ったものたちだ。
好きな風景、毎日見る建物、親しい友人。
あなたの記憶がそこにはあった。

光る水面に映し出されているのは好きな物や好きな人、楽しい思いをした時の場所ばかりだ。
誰にでも自慢したい記憶かもしれないし、見られたくなかったかもしれない。

不意に青木が口を開く。

「どうだった、この時」
「お前楽しかったか」


 

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